インド vol.3

デリーからリシケシへ向かう。その道中にももちろん始まりからストーリーは平凡には進んでくれない。

駅からバスターミナルへ向かうたった600mほどの距離。その間を、自転車で客を乗せて走るリキシャというものに乗った。しかし、なぜか運転手はバスターミナルとは違う方向へ進む。「方向が違う」と言うが、「お前の乗るバスはこっちで一回チケットを買わなければならない」と言い張る。「おかしいから降りる」と降りようとするが、「こっちであってるんだもうすこしで着く」と言って回り出した車輪を止めようとはしない。「俺は知ってるんだ、バス停はあっちでこの方向にバス停は無い」と再び降りようとするが、「俺を信じてくれ、こっちにバスのチケット売り場があるんだ」と。

たどり着くとそこにやはりバス停はなくあるのはいかにも怪しいツアーチケット販売事務所。看板にはバスチケット、飛行機チケット、タクシー手配などの文字が書かれている。中はデスクと椅子があるだけのインドにしては小綺麗な狭いオフィス。このバスに乗りたいと時間と目的地とバスの車種の書いたメモを見せると「それだと1000ルピーだ」と言われる。インターネット調べた公式ページの料金は600ルピー程。時刻表や案内のカタログなどなくただただ口頭で言われるだけ。こうなるとわかっていたのだがなぜか途中からこの光景を味わいたいと思い始めていた自分がいた。これがインドなのだ、デリーなのだと言わんばかりの一連の流れ。その事務所の前には俺を乗せた運転手のような男達がリキシャやトゥクトゥクと共にタムロする。全員が詐欺師に見える。この街は嘘でできているんではないかとも思える。

再びバスターミナルへ向かい、バス停で直接チケットを買う。むしろチケットは買う必要はなく乗ってから払っても大丈夫だと乗ってからわかる。しかし、乗りたかった少しグレードの高いバスは入ってしまった。仕方なくローカルバスでリシケシへ。7時間かかると聞き不安になるがそれに乗るしかない。

しかし、人生とはまさに巡り合わせだと思わされる。横に乗り合わせたインド人の男がまた俺にインドを味わわせてくれた。今回も嘘ばかりかと思ったが今度は助けてくれた。捨てるインド人あれば拾うインド人あり。バスの添乗員にリシケシまでのバス代を払うがお釣りはくれない。ヒンドゥー語で説明されるがわかるはずもなくお釣りの値段が書いた紙を渡される。横の男が「本当はその場でお釣りをもらえるまで要求しなければいけないが、今回はしっかり払ってもらえるように俺が言っておいたから降りる時にしっかりまたお釣りをもらうんだぞ」と間を取り持って英語で説明してくれた。お釣りは50ルピーだけだった、それでもこの国の人たちにとってはあれば助かる。

マヌージと名乗るその男は3時間ぐらい走ったところへ向かっていた。その3時間でインドでのあれこれを教えて貰った。マヌージは男前であった。ジョニーデップそのものかと見間違うほど似ていた。なぜか俺の旅に興味を持ち友達や親戚とコンタクトを取り俺の旅の案内をそいつにしてもらえるように頼んでくれている。俺はまたインド人の嘘と騙しの螺旋に入り込んだかと思った。結局案内人に会うことは無くそれが嘘だったのかは結論は出なかったが少なくとも一人のインド人として男として俺に親切にしてくれたと感じた。

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家族のこと、カーストのこと、インド人のこと、観光客を騙すデリーの人たちのことなどを、荒れたオフロードを走るバスで共に体を揺らしながら話した。日本はどんな国なのかも話し、お互いの生まれ育った国の間違い探しを二人でしていた。バスの休憩所ではコーヒーとスナックとタバコをおごってくれた。ホストとしてゲストをおもてなすする。その心はインドにもやはりあるんだと嬉しく思った。

そのまま俺の目的地まで一緒に行ってやりたいが嫁と子供が寂しがるといけないのですまないがここで降りるよ、と名残惜しかったが別れた。マヌージとの出会いに感謝しながら無事目的地リシケシにたどり着く。ひとつの目的地に着くだけで一安心。やはり異国の地、特にインドでのひとつひとつは体験として多くのものがあると感じた。

バスターミナルからそのメインのところまでまたトゥクトゥクに乗らなければならない。いうまでも無くバスターミナルに群がるハイエナが押し寄せてくる。また値段交渉。本当なのか嘘なのかわからない。とりあえず一旦断ると値段を下げてくる。日本人の営業マンは一度インドで営業をしてみれば最高の実習になるんではないかとも思う。

聖気に満ち溢れる山に囲まれ、ガンジス川の上流が流れるリシケシ。そのガンジス川にかかる橋ラクシュマン・ジュラという橋のふもとに行けばいいとナヌージが教えてくれた。そこでゲストハウスを見つけなんとか寝床にありつけた。なんとそのゲストハウスのオーナー自身がヨガの講師だった。明日は念願のヨガの聖地でのヨガレッスン。嘘ともてなしの両面が第三幕では入り乱れた。

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