ニコラ テスラ

1856年クロアチアに生まれる。二人の姉、一人の兄、そして一人の妹がいた。その兄は7歳頃からすでに「説明できないほどの天才的知性」を持ってたと言われている。しかし、その兄は12歳という若さでこの世を去ってしまう。この兄の存在と死はそれからも彼の心の奥に残り続けたと言われている。

テスラは幼い頃から技師になりたいという夢があり、身の回りにある物で様々なユニークな物を作っていた。プラハ大学で電気工学を学んだ後、パリのコンチネンタル・エジソン社に入社。その電気工学における才能を見出されアメリカ本社に呼ばれる。そこで、世界の発明王エジソンとの壮絶な電流のバトルが繰り広げられることになる。

発明と言われたら1番に出てくると言っても過言では無いエジソン。「白熱電球」の発明や「蓄音機」などたくさんの発明品を世に送り出した。当時は一流の大学を経て有名な研究室で実験をした科学者が発明する、というのが一般的であった。その常識を覆して、有名な学校も卒業せず、何の学位もないエジソンが素晴らしい発明をし続ける。それこそが発明界に新たなスタイルとして大きな功績を打ち立てたと言われてる。度重なる実験への意欲や努力によって何かを生み出せるんだという証明であったと。

そのエジソンは電流を直線でつなげる直流を採用していた。中学高校の理科で習う直流と交流。そのエジソン社で働くテスラは、交流の方が安全で効率的だと主張する。両者の意見は当然対立。エジソンは、エジソン社で採用されている直流式で動いているシステムを交流で動かす事が出来たら、5万ドルの報酬をあげようとテスラに問いかける。直流が安全で簡単であるというエジソンの理論がその五万ドルという高額な報酬の背景にはあった。しかしテスラは難解な交流式でのシステムの稼働に成功。でも、その報酬が支払われる事は無かった。エジソンはその成果を認めず、逆に世間には直流の方が安全で効率的であるとさらに説いてまわるようになる。

そこから発明王エジソンと奇才テスラの溝は埋まることは無かった。エジソン社を退社したテスラは独立し貧しいながらも研究所を設立。交流式の設備が徐々に認められ特許を得るなどして地位を確立していく。その後もエジソンに対して意見を求めらる時には真っ向から対立。テスラは理論科学者として、大学で学んだ数学や理論をもとに実験する。それに対しエジソンは、直感的で何度も何度も繰り返す実験で成功を収めてきた。このスタイルに対しても批判的で、その努力や時間の浪費を計算や理論で90パーセントは減らすことができる無駄であると批判した。

また、テスラのスタイルとして「自然界のエネルギーを最大限に引き出す」という考え方も大きい。幼い頃に雪山で小さな雪の玉が転がって家ほどもある大きな玉になったのを見て「自然界には計り知れないパワーがある」と感じた。ある時、山中を一人で歩いていたら大きな雨雲が襲って来た。小屋で雨宿りしようと雲を眺めていたが、十分すぎる雨雲の中、なかなか雨は降らなかった。と、その時雨雲に一筋の大きな稲妻を見る。その瞬間大雨が降り注ぎ彼は雷の電流・電圧があらゆる物事の引き金になっているのではないか?と電流の研究をし始める。そしてそれを自在に使うことができれば、砂漠に雨を降らすことも、世界中に電気通信を巡らすことも可能だと考えた。

そうして生まれた「世界システム」と呼ばれる構想。地球自体が持ってる電気エネルギーを活かして世界中をネットワークでつなげてしまうという構想が展開された。しかし、結局はこのシステムは失敗に終わる。莫大な投資が無駄になってしまったが、発想と理念は間違っていないと言われている。

また高電圧によって大きなパワーを生み出す「テスラコイル」というものも発明された。SF映画に出てくるようなエネルギー波はこれを元に創られたと言われてる。大きなものや固いものに高電圧を一点に集めたエネルギーで破壊してしまうという技術。彼はこれをもってすれば地球をも真っ二つにできると豪語した。

都市伝説の一つにフィラデルフィア実験というものもある。今でも普通に使われいる海上での敵レーダーから身を隠すステルスという技術。テスラの場合はレーダーどころか視界から消えるという発想であった。簡単に言うとワープするという実験。空間を曲げいきなり敵の前に現れるというワープを実験したが、その船の乗組員は船に体が埋まって現れたなど不可解な説が残っている。これは信憑性の低い記録として残っているが、こうした技術の開発から世間からはマッドサイエンティスト、つまり狂気の科学者としての評判が立ち、世間からの目は発明者よりは狂人としての認識が広まっていた。

しかし、功績としては確実に大きく貢献してきた。現代の電流は交流がメインでありエジソンの発明よりも優秀なものを残している。世界システムも今は形を変えたネットワークが選択されているが発想は現代にも生きている。功績や能力とは反比例となってしまった認知度や評価。その裏には様々な要因があり正に現代のエネルギー問題の核となる理由がそこにはあった。

軍事利用されている発明もあるが、彼は紛れもなく平和主義者であった。著書にも、インタビューにも世界平和のための科学が語られており、そのための研究や発明の活動であった。アインシュタインもそうであったように科学の発明というのは人間の生活の豊かさと軍事利用のコインの裏表がある。

Vol.2に続く