天皇と日本神話 Vol.3 〜神々と遷宮〜

いよいよ『天皇』が日本に生まれた。神々(主に《いざなぎ》と《いざなみ》)が作り、収めようとした日本。紆余曲折を経て日本で生まれた神「国つ神」が治めていたが、《いざなぎ》と《いざなみ》が元々治めるように使命を受けていた通りにしようと《あまてらす》は天で生まれた神「天つ神」が治めるように進めた。

天つ神として葦原中国を治めるため天から降りてきた《ににぎのみこと》。天照《あまてらす》の溺愛していた孫が地に降りてきたので、天孫降臨と呼ばれている。そして日本をおさめていた国つ神《おおくにぬし》は《ににぎ》に国を譲った。

《ににぎ》の孫にあたる神日本磐余彦《かむやまといわれひこ》が「神武天皇」として初代天皇となる。現天皇まではもう少し。初代天皇は半分神の存在。現在のような神でなく人間の天皇になるまでの流れを見ていこう。

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《ににぎ》は、自分を大好きな《あまてらす》も見届けやすいように、日が良く見える日向に降り立った。早速《ににぎ》は山の神の美しい娘、木花咲耶姫《このはなさくやひめ》と出会う。そして結婚する。(この際、姉の磐長姫《いわながひめ》も一緒に娶って欲しいと申し出があったが美女でないという理由で断った。それが理由で、寿命の無いはずの天つ神《ににぎ》は《いわながひめ》の呪いのようなもので寿命が出来てしまったと言われている。)

3人の子供、火照命《ほでりのみこと》火須勢理命《ほすせりのみこと》火遠理命《ほおりのみこと》が早々に生まれた。《ほでり》は釣りが得意な海幸彦、《ほおり》は狩りの得意な山幸彦として名が広まった。(なぜか次男の《ほすせり》はあまり名前が出ず、これからもストーリーには出てこない。)

神話に兄弟が出てくると必ずと言っていいほど兄弟喧嘩が起きる。《あまてらす》と《すさのお》のような事が二人にも起き、山の子VS海の子の争いが起きる。

結果は山の子《ほおり》の勝利。まさかの海の神の娘、豊玉姫《とよたまひめ》を味方につけ、意地悪な《ほでり》を撃退。兄を服従させ、見事日向の国を治めた。

《ほおり》と《とよたまひめ》の間には不合《あえず》(フルネームは長すぎるので)が生まれた。しかし《とよたまひめ》は海へ帰ってしまった。代わりに妹の玉依姫《たまよりひめ》によって育てられた。《たまよりひめ》は《あえず》を溺愛し、《あえず》も《たまよりひめ》が大好きだった。

《あえず》「僕、大きくなったら《たまよりひめ》と結婚するー。」

《たまよりひめ》「大きくなるには好き嫌いせずなんでも食べないといけませんねー。」

などと冗談を言っていると、大人になった《あえず》は本当に《たまよりひめに》に求婚。あまりの本気さ情熱に周りも仕方なく応援し、結婚する。(《たまよりひめ》は縁結びの神として現在下鴨神社に祀られている。)

そして待ちに待った《かむやまといわれびこ》が生まれた。(他にも3人の子が生まれた。)

ここまでは現在の宮崎県にあたる日向でのストーリー。日向は平和な日々が流れていた。が、本島である東の方では国つ神が民を虐げているという話も耳にする。さらにせっかく天つ神が日本を治めているのに、こんな西の果てにずっといたんじゃみんなに忘れ去られてしまう、という話になりいざ東方遠征へ。

頼りになる兄の《いつせ》を先頭に東へ向かう一行。実際に来てみると、本当に国つ神が悪さをしているでは無いか。しかも、奈良のあたりにたどり着いた彼らは衝撃を覚える。那賀須泥毘古《ながすねびこ》率いる一家はかなり強かったのだ。

久米兵と呼ばれる屈強な兵達を連れて来ていた彼らだったが、相手の猛攻に《いつせ》までもが倒れてしまった。一旦、体制を立て直すため南へ下り《あまてらす》の見守る太陽を背に戦うことにした。そして一度迂回し、熊野へ向かった。

今度は、大熊と遭遇。大熊の毒にやられ味方兵達が倒れていく。すると、高天原から救いの手が差し伸べられた。悪い神を倒してくれる剣を持ってきてくれ、見事大熊を退治。

さらに、深い熊野の森で迷わぬよう道案内をする一匹のカラスを。これが八咫烏《やたがらす》。(THE COIN)を読んでもらった人は少し話が繋がってくるんではないかと思う。)

そして奈良周辺の荒くれ者達を制圧しながら、見事《ながすねびこ》にリベンジ。するとその親玉がいた。饒速日命《にぎはやひ》という天つ神がいた。彼も天つ神だが《あまてらす》の子孫ではない。むしろ、《あまてらす》の子孫に仕えたいということで以後、《いわれびこ》に仕える。(《にぎはやひ》は歴史上の物部氏、穂積氏らの始祖と言われている。《ながすねびこ》の末裔は織田家とされており、武の強さは彼からきていると言われている。)

こうして奈良を中心に日本全国をまとめ上げ、天下を治めた。そして奈良の橿原に大きな宮を築き、初代『神武天皇』として即位した。また、早速結婚し、子供が生まれる。歌の上手な伊須気余理比売《いすけよりひめ》と結ばれ間に3人の子供を授かり、137歳で崩御(天皇・皇后・皇太子・太皇太后が死ぬことを。)

ここから、代々《あまてらす》の血筋で天皇が引き継がれていく。しかしそこにも「天皇」の地位をめぐるドロドロとした権力争いが起きる。(神の世も人の世もあまり変わらないのかもしれない。)

続いて事件が起きるのは10代目天皇「崇神《すじん》天皇」。10代目になったがまだ平定していたのは関西より西ぐらいだった。しかも奈良周辺に謎の疫病が流行し窮地に立たされていた。すると神が降りてくると言われている神床に《おおものぬし》が現れて、この疫病は自分のせいだと言う。自分を祀ってもらっていた三輪山の社が老朽化しているから立て直して欲しいと。

すると疫病もすっかりよくなり一件落着。と思いきや今度は久しぶりに《あまてらす》が現れた。さすがの崇神天皇もびっくり。

《あまてらす》「相性の悪い《おおものぬし》が元気になったから今度は私がここにいづらい。」

そんな理由で、八咫の鏡を通して現世を見ていた《あまてらす》の引越し先探しが始まった。

このあたりから日本の教科書の歴史ともかぶり始める。学校の歴史の最初の頃の有名人といえば「卑弥呼」。彼女と時代が被っていると言われていて、時代的に矛盾が生じていると言われている。今となってはどちらが本当でどちらが空想で、はたまた両方ただの物語かわからない。が、こういう話が言い伝えられているということだけ知ってもらえればそれでいいのだと思う。

次の天皇は息子の「垂仁《すいにん》天皇」。彼には溺愛の子供、本牟智和気《ほむちわけ》が生まれた。しかし、彼はなぜか生まれつき聾唖だった。すると今度は神床に《おおくにぬし》が

《おおくにぬし》「国譲りの条件に《あまてらす》が出雲に社を作ってくれるって約束は知っているよね?あれから何年経ってると思う?息子が喋れないの実は僕の呪いなんだよね。」

つまり社を立て替えて祀ってくれ!という願い。早速、天にも届く出雲大社が出来上がり以後老朽化しないように60年ごとに建て替える(これを式年遷宮という)ように決められた。

そして《あまてらす》の引越し探しも見つかった。あれから90年後とも言われている。(ちなみにこの90年の間で伊勢に行く前の引越し先とされているところが「元伊勢」と呼ばれ今でも祀られている。)

《あまてらす》「この神風の伊勢の国は、常世(とこよ)の波の重浪(しきなみ)帰(よ)する国なり。傍国(かたくに)の可怜(うまし)国なり。この国に居(を)らむと欲(おも)ふ」

という声が聞こえ、伊勢神宮に八咫の鏡は祀られた。そしてそれは現在でもそのまま残っていると(最後に見たのは明治天皇でそれ以降誰も目にしていないとも)言われている。伊勢神宮も老朽化させないようにさらに短い20年ごとの立て替えが決められた。

ちなみに崇神天皇は立て替えのための資金や橋や道路の公共事業の為に税の徴収が始められたと言われている。この頃から、日本を治めるという実質の形も整い始める。

最近では2013年に伊勢の式年遷宮が行われた。なんと690年に建てられてから62回目で1300年間も続けられている。このあたりにこの日本神話が徐々に現代に生きる人にもリアリティーのある重みを帯び始めてくるのではないだろうか?

そして別の子供である「景行天皇」が即位し、物語はその息子の《やまとたける》に引き継がれる。

限りなく長いここまでだが、これでも省略している部分の方が多いぐらい。結局Vol.3でも現天皇までいけなかった。

が、このVol.3で出てきた大事な事として、神社・宮の由来と遷宮。もし、この神話がただの物語なら1300年もこの立て替えが続けられてきただろうか?もしかしたら途中でさぼっていたかもしれない。が、今でもやっているという事実が凄まじいと思う。もちろんこれにはお金も労力も半端なくかかる。

江戸時代には、一生に一度はお伊勢参りに行きたい!と言われるほど、人々にとって伊勢神宮の存在は大きかった。中には家財を売り払って出かける人もいたようだ。もちろん車も電車もない時代。個人では馬さえ乗れたかどうかも怪しい時代に。やはり《あまてらす》の化身である「八咫の鏡」の存在が大きいのかもしれない。

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