農業と林業の研修を半々の割合で、前半が農業、後半が林業という形式で体験させてもらった。

このVol.2では農業について細かく見てみたいと思う。

始まりは Vol.1 から

 

農業と自然と時間

最近では都市部から田舎への移住や、貸し農園なども注目され始め、農業への関心が高まっている。

その関心の根本はどこにあるのだろうか?というような問いにも答えてくれる今回の研修だった。

無い物ねだりが人間の本性と言えば、それまでだが、やはり田舎の人は都会へ出たいし、都会に疲れると田舎へ帰りたくなる。

今回の農業の研修で教わった「時間」という視点で少し考えてみようと思う。

どの時間軸で生きるのか

朝日が昇る頃に作業を始め、日が暮れると夕ご飯の支度を始める。そんな日々を送る農家さん達と昼夜を共にし、教えられた事。それは「自然時間に自分を合わせる」という生き方だった。


農家といえば、「作物を育てている」、というイメージが強いかもしれないが、農家さんに話を聞いてみると少し違う。多くの農家さんから、「作物を育てる手助けをしている」とか、逆に「作物に生かせてもらっている」という返事が返ってくる。

種が芽吹き、新芽が本場になり、茎が幹になり、枝葉が茂って実をつける。本来は人間があれこれしなくてもそのサイクルが繰り返されてきた力強さがそこにはある。

しかし、人間が収穫量を増やそうと欲ばったり、見た目や大きさなどを追い求め、勝手に本来の力以上に伸ばそうと頑張っているのが近代の慣行農業と言えるかもしれない。

そこには、消費者である我々の意識のせいかもしれない。虫がついていると嫌、葉に穴が空いていると嫌、曲がっていると嫌、なんていう声が聞こえてきそうだ。

実際に作物を育ててみれば少しはわかるのかもしれない。植物本来の力強さ、大地や水の栄養をしっかり取り込んだ葉実。そういったものは人間には生み出せず、植物だからできること。そのサイクルがうまく回るようにサポートしてあげるのが、人間の役割なのだと思う。と農家さん達は語る。

 

その為には、植物が育つ自然の時間にその作業もあわせてあげなければならない。日が昇ると植物も起きる。夜が来ると植物も眠る。季節ごとに旬のものがあり、土地や地質ごとに適したものがある。それに人間が合わせて生きていくことが大切になってくる。

ちなみに、種が発芽するのに月の満ち欠けが深く関係しているという話も現実にある。

その中で、少しでも多く収穫したい、虫や他の動物に食べられないようにしたい、などの問題や課題が出てくる。その問題に対しても人間のエゴにならず、他の動植物や虫などとも共生してく道を極めるのが農家の目指すところなのだと体験した。

とはいえ、現実問題として、台風や干ばつ、洪水や土砂崩れなど、自然は時に猛威を振るう。しかし、植物本来の強さに即して育っている作物は少々の台風にも負けずしっかりと軸を保っている。

逆に、人間が肥料をあげすぎたり、早く収穫したいからと時期を早めて植えているものはそういった災害などに負けてしまう。

そういう部分をまとめて、自然時間に即して1日1日と過ごし、季節を感じ、一年を送る。という生き方が心に響いてきた。

都市部で生きていると、まず時間は時計に合わせられる。何時に太陽が登ろうが沈もうが。その時計を軸に会社や学校などの時間がある。子供の頃に言われた記憶があるんではないだろうか?「日が暮れるまでに帰ってきなさい」と。

「自然」にあるべき自然

時間という感覚にも自然があった。では自然とは何なのだろうか?という話も少ししたいと思う。

高知県の中でも山間部の土佐郡土佐町にお世話になった。そこで農業に汗を流す農家さん達は、当たり前に思うかもしれないが、その山間部に合わせた農作物を育てている。

 

その当たり前を改めて納得させられたのも、今回の収穫の一つ。BESOは「当たり前」や「常識」という言葉があまり好きではない。そこで、そういった概念の言葉を「納得のいく」という言葉に置き換えてみる。

山間部で育ちやすいものを育てることは納得がいくし、平地で育てやすいものは平地で育てるほうが納得がいく。そこで、都市部を見てみようと思う。

人が生活しやすいのはやはり平地。そして運搬や移動ということを考えて河の近くに人が集まる。そして、街になり都市になる。

それは自然なことであり、納得がいく。逆に、山間部や離島などからは人が離れていき、都市部へ流れるのも自然なことだと思う。

しかし、その自然な流れとは逆行し、都市部から田舎へ行きたいという人たちが増えている。ということは、都市部に人が溢れてしまっているということなのではないかと思う。

コップに注いだ水が上から溢れているように。ではその水はどこへいくのだろうか?住みやすい土地をどこかに求めていくのではないだろうか。

結局はどう「生きる」か

と、ここまであれこれ言ったが、結論としては、どう「生きる」かが大切だ、という話。

都会がいいわけでも田舎がいいわけでもない。あなたが何を求めているのかという事だと思う。もちろん現実的な問題も多い。家族・仕事・経済的な事情など生活を送る上で考える事は多くある。

しかし、そのもう一つ根底には、どの時間軸を大切にし、自分がどう自然に生きるかというポイントがある思う。

今一度、あなたに流れる時間と、あなたが送りたい時間軸を見直してみよう。もちろん人それぞれ時間軸は違う。家族であっても違う。本当はもっと朝方の生活をしたい、夜型の生活が合っている。夏がくれば海に行けるような生活がしたい。ちょっと歩けば山の中へ入れる。という自然な考え方もそこにはあるのかもしれない。

都会にいては、自然に触れ合う機会も少ないかもしれない。ただ、人間も自然の中の一部なのだという感覚を少しでももって過ごしてみれば、生き方は変わってくるのかもしれない。

都市部にいても田舎にいても、自分で「納得がいく生き方を生きていくことが大事」と農業を通じて教えてもらったのだと思う。