天皇と日本神話 Vol.1 〜神々の系譜と岩戸開き〜

8/8に生前退位の意思を発表された天皇。少し天皇について考えて見る。

そもそも天皇とは何か。誰か。そして生前退位とは。

天皇について考えた時いろいろな要素から成り立っている事に気付く。
その中でも今回は

・天皇が生まれた系譜である神話、
・現代の日本という国における位置付けの天皇、

という2つの視点で見てみようと思う。

まずは天皇の始まりから始めよう。これは古事記や日本書記に由来していて、神話から来ているので科学的にしか考えられない人にはあまり意味の無い話かもしれない。

日本人として日本の神話を知っておかなければならない理由があると思う。世界でもまれな宗教観の日本。その根幹にあるのが八百万の神の存在と神道。なぜ日本には世界中で広まっている宗教がそこまで浸透しきらず大国として存在するのか。なぜ仏教は神道と融合を果たしたのか。そしてなぜそれが今の天皇に受け継がれ、日本国民のハートに脈々と受け継がれているのか。この揺れ動く、動乱の21世紀序盤の世界と日本に生きる日本人として知っておかなければならない話だと思う。

(※漢字や読みは書物によって様々な表記がある為、今回の記事ではひとつの歴史書に統一せずさらっと流してもらいたい。)

では、日本の神話と言われてどの神をまず想像するだろうか?

天照大神《あまてらすおおみかみ》、月読《つくよみ》素戔嗚《すさのお》の3神は漫画ナルトにも技の名前で出てくるので知っている人も多いかもしれない。国生みの神として伊耶那岐《いざなぎ》は日本の高度経済成長期の名前にもなった。大阪人にとっては「えべっさん」として馴染みの深い戎《えびす》。馴染みのある神から名前はなんとなく知っているみたいな神までいろいろおられる。

今回はその神話をさらっと駆け足で系譜をみてみたいと思う。それが天皇につながり、今の日本に、ひいては今の世界にも繋がってくるということを感じられるのではないだろうか。

そもそもこの世界を作り出した神と言われる存在。世界各地の神話も長いストーリーで日本における物語ももちろん紆余曲折を経る長い物語。「古事記」「日本書紀」とよばれる2つの古書が神話の書物として最も有名なもの。その2つに沿って、さっそくその物語を見ていこう。

ーーー

神話という物語は雲の上、天国ともとれる「高天原《たかまがはら》」から始まる。ここに5柱の神が誕生する。この5柱が天地開闢(天地創造のこと)の始まりにして絶大な影響を与えたが、直接子や神を産まず、始まり以降姿を隠したため「別天津神《ことあまつがみ》」と呼ばれてる。

※(神話では神を1人2人と数えず1柱《はしら》もしくは1神《しん》1体《たい》と数える)

そして神世七世《かみよななよ》と呼ばれる7柱が大雑把だった国の形を一つ一つ作り上げていく。国之常立神《くにとこのたつのかみ》、豊雲野神《とよくものかみ》がまず現れる。この2柱と別天津神の5柱は男女の性別を超越した存在として独神であったとされている。その後日向三代《ひゅうがさんだい》が日本という社会の大枠を形成していく。

(余談だが、最近生まれてくる子供の中に異変が起きている。「両性具有」という子供が増えている。男女両方の性器を持ってこの世に生まれる子供のことであり、独神の流れを汲んでいるともされている。また電磁波や放射線、紫外線など生活環境のあまりの変化が奇形として現れている可能性もあるとも言われている。)

そこに続く残りの5柱。ようやく馴染みのある伊耶那岐《いざなぎ》と伊耶那美《いざなみ》が出てくる。この辺りから神が両性に分かれ始めそれぞれ役割を分かち始める。

いざなぎといざなみは国産みの神、また神産みの神として現れ、人間のように二人が交わりあって国や神を産み落としていく。

2柱は天の浮き橋に立ち、混沌の現世をかき混ぜ4つの島を産んだ。それが今の日本の4島。(地理学的に言われているユーラシア大陸と元々陸続きにつながっていた日本という話を今は置いておく)そして、その土地を治める神を生み始めます。しかし、迦具土《かぐつち》を産んだ時にいざなみに異変が起きる。

火の神である《かぐつち》を産んだ際にいざなみは陰部に大やけどを負ってしまう。それでも神を生み続けた《いざなみ》はとうとうこの世にはいられなくなり、あの世である黄泉の国へ行ってしまう。

あまりの悲しみに、《いざなぎ》は《いざなみ》を追いかけて黄泉の国へ向かう。

《いざなぎ》「葦原中国に帰って一緒にもう一度国づくりを再開しよう、まだ国づくりは終わっていない」

黄泉の国の扉の手前にたどり着き扉越しに《いざなみ》に呼びかけた。

《いざなみ》「黄泉の国の神様にもう一度この世へ帰れるように訪ねてきます。それまでここで待っていてください。決してこっちに来ないでください。そして決して私の姿は覗かないで下さい。」

と言い黄泉の国の奥へ戻っていく。入り口で帰りを待つ《いざなぎ》。しかしいつまでたっても戻ってこない《いざなみ》を待ちきれず《いざなぎ》は約束を破り黄泉の国へ入ってしまう。そこで《いざなぎ》が目にしたのは黄泉の国の食べ物を食べてしまい見ていられないほど醜い姿に変わり果て《いざなみ》だった。

腐りかけ、ウジが体に湧いている《いざなみ》の姿に呆然とする《いざなぎ》。

《いざなみ》「あれほど私の姿は見ないでくださいと言ったのにあなたは見てしまいましたね。私に恥をかかせたあなたを許せません。」

呆然とする《いざなぎ》。《いざなみ》は黄泉醜女《よもつしこめ》や悪霊たちに《いざなぎ》を殺せと指示を出す。

大慌てでこの世へ逃げ帰る《いざなぎ》。追いかける黄泉醜女たちをなんとか振り切り命からがら逃げきる。しかし、《いざなみ》は諦めず最後まで追いかける。そして《いざなぎ》は《いざなみ》がこの世に来ないように、この世と黄泉の国との間の戸を大きな岩で塞ぐ。

(この岩で戸を塞いだ出来事は「岩戸」と呼ばれている。そして、この後の神話にもこの「岩戸」が何度も出てくる重要な存在。ちなみに日本を襲う重大な自然災害(にみせかけた人的災害)は「戸」に起きるとも言われている。)

怒りが頂点に達した《いざなみ》は

《いざなみ》「これからは、あなたの国の人を1日に千人ずつ殺します」

《いざなぎ》「ならば、この世に1日千五百人ずつ子供が生まれるようにする」

と答え、言葉通りそこからこの世には少しずつ人が増えるようになった。

ーーー

ここまでが、日本の神話の序章。しかもかなり駆け足で話した神々のストーリー。天皇とのつながりなんてまだまだ見えてこないけど、この序章があって、中盤があってこそ天皇の存在につながってくる。

この序章から色々な神が産まれる。意外にもこれからの神話は争いの絶えないストーリーになっていく。神の世界でも争いは絶えない。そう考えると人間が生きているこの地球で争いが絶えないのは当たり前の話なのかもしれない。でも、神の真意を考え始めるとその争いの終わりに何が待っているのかが見え隠れする。

集団自衛権、米軍基地問題、尖閣諸島・・・。今の日本も戦争と隣り合わせの状況。世界的にみると小型、大型問わず武器によって死んでいる人や生き物が1分1秒に大勢出てしまっている世の中。その先を見ず、今の利益や目先の幸せを追い求めるとどうなるのかを1人1人が考えないといけない。その教科書の1つとなってくれるのが日本の神話。

別の観点から今注目されているのがさっき出てきた「岩戸」。自然災害の多い場所や地脈の上で重要になる龍脈には「戸」とつける風習がある。神戸・江戸・松戸・瀬戸・八戸・・・。その名前は風水にも由来し、地名には様々な思考と祈りが張り巡らされている。そして阪神淡路大震災では神の「戸」である神戸の岩戸が開かれたと言う人も多い。その意味がどうなのか、その結果どうなったのか、という事は様々な意見や憶測が飛び交っている。

イギリスの歴史家、アーノルド・トインビーは

「12、3歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は例外なく滅んでいる。」

という言葉を残している。鵜呑みにしろとは言わないが歴史学者が様々な歴史を鑑みた結果の言葉。

自分は日本人という民族の歴史と神話を後世に語り継いでいく事ができるだろうか?

Vol.2に続く。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

twelve + five =