天皇と日本神話 Vol.2 〜天つ神と国つ神〜

いよいよ主役は三貴神の時代となる。さらに初代『王』である大国主神に至り、天皇との関係を軸に見ていく。

Vol.1はこちらから。Vol.1.5はこちらから。
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冥界の黄泉の国へ行った《いざなぎ》は葦原中国(あしはらのなかつくに、この世の事)に帰ってくると自分の体に漂っている冥界の穢れに気付く。

《いざなぎ》「そういえば、筑紫の日向に穢れを落とすのに良さそうな綺麗な川があったな。行ってみよう。」

綺麗な水で穢れを落とす事を【禊(みそぎ)】と言う。すると、禊いだ結果《いざなぎ》1人から神が生まれた。身につけていた衣服や装飾品から12柱、水の中で自身を清めて11柱。そしていざなぎが生む最後の神三貴神が生まれる。左目を清めると天照大御神《あまてらすおおみかみ》、右目を清めると月読尊《つくよみのみこと》、鼻を清めると素戔嗚《すさのお》、が生まれた。

あまりにも力の強い素晴らしい神が生まれた事に《いざなぎ》はとても喜んだ。

《いざなぎ》「そなたらは素晴らしい力を持っている。これから世界を治めて行って欲しい。《あまてらす》は天である高天原を、《つくよみ》は夜の世界を、《すさのお》は大海原を、それぞれ治めてくれたまえ。」

これで自分も安心して引退できる。全てうまくいくと思ったのもつかの間、《すさのお》に任せたはずの海が荒れている。待てども荒れは収まらず、仕方なく海へ向かう事に。

《すさのお》はお母さん(いざなみ)に会いたいとだだをこねる。しかしそれは黄泉の国へ行くという事。それは認められない。あまりの聞かなさに《いざなぎ》は《すさのお》を日本から追放してしまう事に。

このあたりで《いざなぎ》は引退する。ストーリーは高天原に住む天つ神《あまつかみ》と葦原中国で生まれた国つ神《くにつかみ》が深く混じり合い展開していく。

《すさのお》は追放された後、高天原を治める姉の《あまてらす》に泣きつく。甘く許した《あまてらす》しかし、調子に乗る《すさのお》。ここで神の兄弟喧嘩が勃発。《すさのお》は海の次に天も荒らした。弟である《すさのお》さえ言う事を聞いてもらえないのでは、と天を治める身として自信を喪失。天の岩屋戸に籠る。

《あまてらす》が引きこもるとどうなるか。世界は闇に包まれた。困り果てた八百万の神々は相談し、協力し岩屋戸から引っ張り出す事に成功。世に太陽が戻り文字通り晴れて高天原に平穏が訪れた。ちなみに岩屋戸から引っ張り出す時に使った道具に常世の長鳴鳥《とこよのながなきどり》、八咫の鏡《やたのかがみ》、八尺瓊勾玉《やさかにのまがたま》が使われ、神器となった。

《すさのお》もこの事件を機に少し反省。だが、この騒ぎを起こした罰として《すさのお》は再び追放され今度は国つ神として細々と葦原中国で暮らす事に。

葦原中国で彷徨った《すさのお》は出雲にたどり着いた。そこには八岐大蛇《やまたのおろち》という大蛇にさらわれかけている櫛名田比売《くしなだひめ》がいた。一目惚れした《すさのお》は見事《やまたのおろち》を討ち取り《くしなだひめ》とめでたく結婚。

こうして出雲にも平穏が訪れ《すさのお》も落ちついて住む場所を定めた。ちなみに《やまたのおろち》を倒した際に尾から出てきたのが草薙の剣《くさなぎのけん》として知られる天叢雲剣《あまのむらくものつるぎ》で、反省の意味を込めて《あまてらす》に献上した。これもは後に三種の神器となるほどの力をもっていた。

そして、平穏無事に過ごした二人は子宝に恵まれ、子孫が繁栄した。ちなみに、古事記にはよく短歌が出てくる。昔の人や神話の世界では、まだ文字が無かったため心を表すのに歌をよく詠った。そして、日本最古の歌と記されているのが《すさのお》が《くしなだひめ》に詠んだ
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

そして話は数百年後の《すさのお》の6代孫・大己貴神《おおなむち》の話。いじめられっ子だった彼はいじめっ子親族に2度殺される。男前だった彼は別天神が救ったが、なんとか自分で力をつけなければ、と黄泉の国の手前に引っ越していた《すさのお》に弟子入り。

いまでこそ丸くなった《すさのお》だが、それでも修行は厳しかった。しかし《すさのお》の娘、須世理毘売《すせりびめ》のサポートもあり、見事成功。そして、《すせりびめ》を連れ出し駆け落ち。しかし、《すさのを》は大事な娘を連れ去った《おおなむち》を必死で追いかけた。

《すさのお》「殺すつもりで与えた試練をよく乗り切った。《すせりびめ》との結婚も認めよう。しかし結婚の条件がある。葦原中国の国づくりをしろ。名前も新たに大国主神《おおくにぬしのかみ》と名付ける。」

男前の《おおなむち》は《おおくにぬしのかみ》として、各地に遠征し子を産んだ。総勢180を超える子を産んだとされる。そう言った意味でも大きな国に発展させた。ちなみに彼が日本初の『王様』とされている。

『王』とはその土地を治めるトップに立つ存在として、さらにその上の存在である神から認められたという意味でもある。この場合は元天つ神の《すさのお》が国つ神の代表として《おおくにぬし》を『王』として認めた。このあたりから『天皇』の概念に近付き始める。

ここからストーリーは 国つ神VS天つ神 という 神VS神 の戦いが繰り広げられる。
見事に日本を治め始めた《おおくにぬし》に対し、

《あまてらす》「でも、元々は《いざなぎ》と《いざなみ》が国づくりを任されたわけでしょ?やっぱり日本は天つ神が治めないとダメじゃない?」

と《あまてらす》は天つ神を葦原中国に送り込むことで始まる。しかし、いじめられっ子から急成長した《おおくにぬし》は一筋縄ではいかなかった。巧妙に天つ神と渡り合う。だが、最終的には天つ神には逆らえず国を譲る。その代わりの条件として作ってもらった大きな宮殿が出雲大社。故に初代王《おおくにぬし》はそこに眠っていると言われている。

そして天孫降臨と呼ばれる《あまてらす》の孫、邇邇芸命《ににぎのみこと》が天より地に下される。結果的には彼の孫が『天皇』の始まりとなる。次のVol.3では初代天皇『神武天皇』こと神日本磐余彦《かむやまといわれひこ》から現天皇までの系譜を見ていこう。

もちろん神話と現実を比べても笑話で終わるかもしれない。が、なぜこの神話が今でも語り継がれ、歴史を改ざんしてきた悪意ある人々がいるにも関わらず残っているのか。そのあたりも含めて考察してこうと思う。

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